【栃木ミステリーロード Vol.3】宇都宮「古賀志山」の岩肌に眠る修験の記憶。低山に隠された峻険な聖域へ

このトピックスをシェア

AD

宇都宮市の北西部にそびえる「古賀志山(こがしやま)」。標高582.8mという低山ながら、北関東屈指の登山者数を誇る人気のスポットです。

しかし、この山にはハイキングコースとしての穏やかな顔とは裏腹に、かつて山伏たちが修行に励んだ「修験の山」としての峻険な顔が隠されています。奇岩、怪石、そして岩陰にひっそりと佇む石仏たち。

【栃木ミステリーロード】第3回は、低山のデパートとも呼ばれる古賀志山の、奥深く神秘的な歴史の稜線を辿ります。

目次:宇都宮「古賀志山」編

宇都宮「古賀志山」の岩肌に眠る修験の記憶。低山に隠された峻険な聖域へ

低山らしからぬ「岩の殿堂」

古賀志山の最大の魅力であり、同時に畏怖を感じさせるのが、その特異な山容です。遠景こそ穏やかな里山に見えますが、一歩足を踏み入れれば、そこはゴツゴツとした岩肌が露出する「岩の殿堂」。

特に、主稜線から少し外れた岩場やバリエーションルートには、鎖やロープを使わなければ登れないような急峻な岸壁が点在しています。これらは古くから、自然そのものを神仏として崇める山岳信仰の対象となってきました。

山頂からは、関東平野を一望する絶景が広がります。空気が澄んだ冬の朝には、遥か南西に富士山のシルエットが浮かび上がり、その手前には日光連山の神々しい姿も。美しさと厳しさが同居する、独特の空気感がここにはあります。

岩屋に篭もった信仰の痕跡

古賀志山の歴史を紐解くと、江戸時代後期にはすでに信仰の山として多くの人が訪れていたことが分かります。

特に注目すべきは、山頂に隣接する「御嶽山(おんたけさん)」というピークです。ここには江戸時代(1846年)に木曽の御嶽山から勧請された神が祀られており、強力な山岳信仰の場であったことを今に伝えています。

山中には「大日窟(だいにちくつ)」と呼ばれる岩屋があり、かつては大日如来や不動明王が祀られていたといいます(現在は風化や消失しているものもありますが、その痕跡は色濃く残っています)。岩肌に穿たれた洞窟や、登山道の脇にひっそりと置かれた石祠。これらは、ここが単なるレジャースポットではなく、厳しい修行と祈りの場であったことの無言の証言者です。

伝説の「現場」を撮る:探索・撮影スポット

かつての修験者が見た景色をレンズ越しに追体験する。古賀志山ならではの「厳しさ」と「美しさ」を切り取るポイントを紹介します。

「鎖場」と岩肌の質感

古賀志山を象徴する荒々しい岩肌と、そこに垂れ下がる無骨な鎖。下から見上げるアングル(ローアングル)で空を背景に抜くと、修行の道の険しさと迫力が際立ちます。岩の凹凸に深い陰影が落ちる、斜光の時間帯(早朝など)は、よりドラマチックな一枚になります。

御嶽山頂からの「聖なるパノラマ」

標高560m付近の御嶽山(おんたけさん)山頂からは、北西に日光連山(男体山)が鎮座しているのが見えます。「ここから神の山を遥拝していた」というストーリーを意識し、手前の松の木や岩をフレームに入れて奥行きを出してみてください。

岩陰に佇む石祠の「静寂」

登山道の脇や岩屋にひっそりと祀られた石祠。全体を撮るだけでなく、苔むした表面や風化した石の質感にクローズアップすることで、長い年月を経た「信仰の記憶」を写し出せます。

マナー: あくまで信仰の対象です。敬意を払い、手を触れたり動かしたりせず、あるがままの姿を記録してください

不動の滝(南コース登山口付近)

 かつて入山者が身を清めたかもしれない場所。鬱蒼とした木々に囲まれ、日中でも薄暗い独特の雰囲気があります。光が少ないため、手ブレに注意しながら水の流れを撮ると、幽玄な世界観が表現できます。

あわせて立ち寄りたい周辺スポット

古賀志山の神秘的な空気に触れた後は、車で15分圏内のスポットで宇都宮の自然と歴史をさらに深く味わってください。

赤川ダム(赤川ダム湖)

古賀志山の麓に広がる美しい湖。風のない日には湖面に「逆さ古賀志」が映り込みます。登山前後の散策に最適。

多気山不動尊(たげやまふどうそん)

古賀志山から南へ車で約15分。北関東三十六不動尊霊場の一つ。洞窟の中に本堂がある珍しい造りで、歴史好きにはたまらない荘厳な雰囲気です。

道の駅うつのみや ろまんちっく村

車で約15分。広大な敷地を持つ滞在型ファームパーク。地元の新鮮野菜や、宇都宮ならではの餃子、クラフトビールも楽しめます。温泉施設「湯処あぐり」で登山の汗を流すのが定番コース。

今回のアクセス・インフォメーション

  • ポイントへのアクセス
    • 推奨アクセス: 東北自動車道「宇都宮IC」より車で約15分。
    • 駐車場: 「宇都宮市森林公園」の駐車場(無料)を利用してください。
    • 公共交通機関: JR宇都宮駅より関東バス「荒針・鹿沼行き」で「森林公園入口」下車、徒歩約3km(バスの本数が少ないため、事前の時刻表確認を強く推奨します)

 

  •  注意点やマナー(重要)
    • ルート選定は慎重に: 古賀志山は「低山のデパート」と呼ばれるほどルートが多彩ですが、中には上級者向けの危険な岩場も多数あります。初めての方は必ず地図アプリ(YAMAP等)と紙の地図を併用し、一般コース(北コース等)を選んでください。
    • 装備の徹底: 低山と侮らず、滑りにくいトレッキングシューズが必須です。岩場通過時はヘルメットの着用も推奨されます。
    • 滑落注意: 撮影に夢中になって足元がおろそかにならないよう、必ず安全な場所で立ち止まってからカメラを構えてください。特に岩場の端には近づきすぎないこと。

※注意: 登山道の最新状況や立入禁止区域については、現地の看板や宇都宮市森林公園の公式サイト等で必ずご確認ください。

AD

※当記事の内容は、一つの見解としてご参考ください。
※当記事で紹介している内容は、2025年12月27日時点の情報です。ご利用の際は、必ず公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。

このトピックスをシェア

AD

宇都宮市のプレイヤーコンテンツ

PLAYER'S CONTENTS

宇都宮市のプレイヤーコンテンツはまだ登録されていません