益子町（ましこまち）は、窯の煙が立ち上る里山の風景と、土の温もりが育む用の美が息づく町

益子町エリアガイド

栃木県の南東部に位置する益子町は、東京から車で約2時間、鉄道では真岡鐵道がのどかに走る、穏やかな里山に抱かれた町です。派手な交通網はありませんが、その少し不便さが、この町ならではの独自の文化とゆったりとした時間の流れを育んできました。

この町の代名詞は、江戸時代末期から続く陶器「益子焼」です。元々は鉢やすり鉢といった日用品を作るための器でしたが、その素朴で力強い美しさは、用の美を追求した民藝運動の主導者、濱田庄司によって見出され、世界的な評価を得るに至りました。町内には今も約250の窯元と約50の陶器店が点在し、丘陵地から登り窯の煙が立ち上る風景は、益子ならではの原風景です。

益子での暮らしは、この「土」と「手仕事」の文化と深く結びついています。全国から移住してきた若い作家や職人も多く、伝統を受け継ぎながらも新しい感性を取り入れたギャラリーや、地元の有機野菜を使ったカフェが里山の風景に溶け込んでいます。窯の煙が立ち上る里山の風景の中で「用の美」を育み続けること。それが、益子町に流れる豊かな時間と暮らしの本質です。