光の聖地への入り口、朱塗りの美しい「神橋」
栃木県日光市に架かる「神橋(しんきょう)」は、日光の社寺の玄関口として知られる美しい木造の反り橋です。大谷川(だいやがわ)の清流と、周囲の豊かな自然が織りなす景観は、訪れる人々を魅了し続けています。1999年には、日光の他の社寺と共にユネスコの世界文化遺産「日光の社寺」の一部として登録されました。
神橋の歴史と伝説
神橋の創建は奈良時代にさかのぼると伝えられています。日光開山の祖である勝道上人(しょうどうしょうにん)が、大谷川の急流に行く手を阻まれた際、神仏に祈りを捧げると、深沙大王(じんじゃだいおう)が現れました。大王が2匹の蛇を放つと、その体が橋となり、上人一行を対岸へと導いたという伝説が残っています。この伝説から、神橋は古くは「山菅の蛇橋(やますげのじゃばし)」とも呼ばれていました。
現在の神橋は、寛永13年(1636年)に徳川三代将軍家光によって日光東照宮が大規模に造り替えられた際に、同じく架け替えられたものです。残念ながら明治35年(1902年)に足尾台風による洪水で一度は流失してしまいましたが、明治37年(1904年)に再建され、現在に至っています。
神橋を渡ってご利益を
かつては将軍や勅使、山伏など、限られた人々しか渡ることが許されなかった神聖な橋ですが、現在では渡橋料を納めることで誰でも渡ることができます。橋の上からは、大谷川の美しい渓谷や男体山を望むことができ、聖地への第一歩を踏みしめる特別な体験となるでしょう。開運や良縁などのご利益があるとも言われています。