足尾銅山の栄華を今に伝える迎賓館「古河掛水倶楽部」
栃木県日光市足尾町、かつて日本最大の銅山として栄えたこの地に、当時の面影を色濃く残す「古河掛水倶楽部(ふるかわかけみずくらぶ)」が静かに佇んでいます。明治32年(1899年)、足尾銅山を訪れる政府高官や華族といった来賓をもてなすための迎賓館として建設され、日本の近代化を支えた鉱都の華やかな歴史を今に伝えています。
歴史と建築の粋が融合した和洋折衷の美
大正初期に改築された建物は、外観は気品ある洋風、内部は和室と洋室が巧みに組み合わされた和洋折衷の木造建築です。渡良瀬川のせせらぎを望むその姿は、鉱山の喧騒の中にありながら、訪れる人々に安らぎと格調高いもてなしを提供してきました。その歴史的・建築的価値から、2006年には国の登録有形文化財にも登録されています。
館内に足を踏み入れると、そこはまるで時が止まったかのような空間が広がります。特に注目すべきは、現存する国産第一号といわれる貴重なビリヤード台です。他にも大正13年製のドイツ製ピアノや、古河財閥とゆかりの深い渋沢栄一の書などが展示されており、当時の華やかな交流を偲ぶことができます。
第二次世界大戦中には古河家の疎開先としても使われ、その際に造られた防空壕が今も敷地内に残されています。
日本の近代産業を支えた人々の息吹と、明治・大正の華やかな文化の香りに触れることができる、貴重な場所です。
現在も古河機械金属株式会社の福利厚生施設として利用されていますが、週末を中心に一般公開されており、どなたでも見学することができます。
入場料:
- 大人(高校生以上):500円
- 小・中学生:300円
- ※20名以上の団体割引あり