下野薬師寺を守護する、歴史深き鎮守の杜「薬師寺八幡宮」
国指定史跡・下野薬師寺跡のすぐ東隣に鎮座する「薬師寺八幡宮」は、かつて広大な寺域を誇った下野薬師寺の鎮守社(ちんじゅしゃ)として創建された、由緒ある神社です。神仏習合の時代、寺院を守護するために祀られたのがその始まりとされ、1200年以上の歴史を誇ります。
ご祭神とご利益
主祭神として、武運の神、国家鎮護の神として広く信仰される、誉田別命(ほんだわけのみこと=応神天皇)をお祀りしています。また、相殿には玉依姫命(たまよりひめのみこと)と神功皇后(じんぐうこうごう)が祀られています。 これらのご祭神の神徳から、国家安泰、家内安全、厄除開運、安産・子育てなど、幅広いご利益があるとされています。
見どころ
- 本殿(県指定有形文化財) 現在の本殿は、江戸時代初期の寛文13年(1673年)に再建されたものです。一間社流造(いっけんしゃながれづくり)という建築様式で、随所に見られる精巧な彫刻が特徴です。特に、正面の扉や向拝(こうはい)の龍の彫刻は見事であり、江戸時代の神社建築の特色を今に伝えています。
- 歴史を感じる参道と境内 鳥居をくぐり、緑豊かな木々に囲まれた参道を進むと、静かで落ち着いた空間が広がります。隣接する下野薬師寺跡の壮大さとは対照的に、こぢんまりとしながらも凛とした空気が流れており、古代から続く祈りの場の神聖さを感じさせます。
古代の大寺院・下野薬師寺の創建と時を同じくして祀られ、その盛衰の歴史と共に歩んできた薬師寺八幡宮。下野薬師寺跡、そして現在の薬師寺(旧安國寺)とあわせて「三点セット」で訪れることで、神と仏が共に人々の信仰を集めていた時代の面影をより深く感じ取ることができます。歴史散策の際には、ぜひこちらにも足を延ばし、静かな境内でお参りください。