【データで”可視化”する栃木の実力】第3回:年収は東京より低い? でも「生活のゆとり」は全国上位! 労働データの真実

目次

前回までの記事で、栃木県は「製造品出荷額 全国12位」の工業県であることを解説しました。 企業の売上が大きければ、当然そこで働く人々の「待遇」も気になるところです。

第3回は、「賃金(年収)」「物価(家賃)」「求人倍率」の3つのデータから、栃木県での働きやすさと暮らしの豊かさを解剖します。

まずは、ストレートに「給料」の話から始めましょう。 厚生労働省の最新調査(2023年実績)によると、栃木県で働く人(男女計・フルタイム)の平均的な賃金は以下の通りです。

栃木県の推定平均年収: 約456万円 (月額給与の12ヶ月分 + ボーナス等の合計)
出典:厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」より試算

この数字をどう見るか。 東京都(約565万円)と比較すると額面は低くなりますが、北関東エリアや近隣県と比較すると、その「実力」が見えてきます。

【近隣県との比較(推定平均年収)】

  • 茨城県: 約462万円

 

ここがポイント

男性なら「約583万円」! さらに、働き盛り世代や製造業に従事する「男性」に限定してデータを見ると、年収は跳ね上がります。 栃木県男性の平均年収(残業代等込)は約583万円。これは北関東トップクラスの水準であり、大手メーカーが集積する栃木県ならではの強みが反映されています。

  • 埼玉県: 約460万円
  • 栃木県: 約456万円
  • 群馬県: 約443万円

データを確認すると、栃木県は群馬県(約443万円)を上回っています。 さらに注目すべきは、東京のベッドタウンである埼玉県(約460万円)とわずか4万円差まで肉薄している点です。 「東京に近い埼玉で働くか、栃木で働くか」。給与面だけで見れば、実は大きな差はないと言えます。

2. 「家賃」は東京の半分以下。手元に残るお金はどちらが多い?

「額面の給料」だけで豊かさは測れません。重要なのは、生活費を引いた後に手元に残る**「自由に使えるお金(可処分所得)」**です。 ここで、栃木県の圧倒的な強みである「住居費の安さ」を見てみましょう。

  • 民営借家(木造)の1ヶ月当たり家賃
    • 東京都区部: 8,252円 / 1畳当たり
    • 宇都宮市 : 3,658円 / 1畳当たり
  • (出典:総務省「小売物価統計調査(2022年)」)

単純計算で、宇都宮の家賃相場は東京の「半分以下(約44%)」です。

【シミュレーション:もし同じ部屋に住んだら?】

例えば、同じ広さの部屋(2LDKなど)を借りる場合

  • 東京で15万円かかる部屋が、
  • 栃木なら約6.6万円で借りられる計算になります。 → その差額、月約8.4万円(年間約100万円)!

つまり、「東京より年収が100万円低くても、生活水準(手元に残るお金)は同等かそれ以上」という逆転現象が起きます。 これが、栃木県が「持ち家率が高い」「車を持てる」と言われる経済的な根拠です。

3. 仕事は選び放題? 有効求人倍率は「1.15倍」の売り手市場

最後に、「仕事の探しやすさ」を示す「有効求人倍率」を見てみましょう。 これは「求職者1人に対して、何件の求人があるか」を示す指標です。

栃木県の有効求人倍率(2024年1月): 1.15倍
(出典:栃木労働局「最近の雇用情勢」)

「1倍」を超えているため、計算上は「探している人全員に仕事がある(求人が余っている)」状態です。 全国平均(1.27倍 ※同月)と比較するとやや落ち着いていますが、依然として「売り手市場」が続いています。

特に以下の職種では、人手不足により求人倍率が高く、転職のチャンスが広がっています。

  • 建設・採掘の職業: 3.66倍
  • 専門的・技術的職業(エンジニア等): 1.63倍
  • サービスの職業: 2.66倍

大手メーカーの工場が集まる栃木では、製造現場だけでなく、それを支える建設業やサービス業など幅広い分野で活発な雇用が生まれています。

まとめ:栃木県は「ハイ・コストパフォーマンス」な働き場所

第3回のデータをまとめると、栃木で働くメリットは以下のようになります。

  1. 平均年収は約456万円。群馬を上回り、埼玉に迫る水準。
  2. 家賃相場は東京の半分以下。生活コストが劇的に安いため、実質的な「豊かさ」は高い。
  3. 有効求人倍率は1倍を超えており、特に専門職や技術職では「仕事が選びやすい」環境。

「東京で高い家賃を払いながら働くか」 「栃木で適度な給与を得ながら、広い家に住み、貯金を増やすか」

データは、栃木県が「資産形成」や「QOL(生活の質)の向上」を目指す人にとって、非常に賢い選択肢(ハイ・コスパな場所)であることを示しています。

次回(第4回)は、稼いだお金をどう使う? 「消費・生活」のデータから、宇都宮市民の意外な出費や、栃木県民のライフスタイルに迫ります。


【データの算出方法と出典について】

※本記事に掲載している「推定平均年収」は、厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」の公表データ(都道府県別第10表:企業規模10人以上・一般労働者・男女計)をもとに、「きまって支給する現金給与額(月額)」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」として、独自に試算した概算値です。 ※個別の職種・年齢・企業規模や、年度ごとの変動によって実態は異なります。正確かつ詳細な最新データについては、必ず厚生労働省の公式サイトをご確認ください。 (厚生労働省「賃金構造基本統計調査」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkozou.html

この記事をシェアする

+ ログインして投稿する