日光連山を望み、市の約7割を森林が占める自然豊かな鹿沼市。ここは、江戸時代から続く木工業の伝統産業が今なお息づく「木のまち」です。この記事では、鹿沼の木工職人という仕事の魅力と、未経験からその世界へ飛び込むための道筋をご紹介します。
日光東照宮を支えた技が息づく「木のまち鹿沼」
鹿沼の木工業の歴史は、江戸時代、世界遺産「日光の社寺」の造営まで遡ります。日光東照宮などを手掛けるため、全国から腕利きの宮大工や建具職人、彫物師たちがこの地に集結しました。彼らが仕事の合間に、周辺の良質な日光杉などを使って木工品を作ったのが、鹿沼の木工業の礎と言われています。
この地で培われた卓越した技術は、その後も脈々と受け継がれ、国の伝統的工芸品にも指定されている「鹿沼組子」「鹿沼総桐箪笥」といった、緻密で美しい木工品を生み出してきました。
特に「鹿沼組子」は、釘を一本も使わずに、0.1ミリ単位の精度で木片を組み上げ、麻の葉や胡麻柄といった幾何学的な文様を描き出す、まさに神業。その繊細な美しさは、和室の欄間や障子だけでなく、現代のインテリアや照明、アクセサリーなどにも形を変え、多くの人々を魅了しています。










