明治の面影を今に伝える貴重な建築群「旧足尾銅山掛水重役役宅」
古河掛水倶楽部に隣接する「旧足尾銅山掛水重役役宅」は、足尾銅山の最盛期に所長や副所長といった幹部社員のために建てられた住宅群です。明治40年(1907年)の足尾暴動をきっかけに、鉱業所の中枢機能が本山から掛水へ移転された際に建設されました。
当時最先端の住宅建築
これらの住宅は、単なる社宅ではありません。洋風の応接室を備え、当時としては画期的であった中廊下式の設計を取り入れるなど、明治末期における最先端の住宅建築でした。特に所長役宅は100坪を超える広大な敷地を有し、接客空間と居住空間が明確に分けられた造りとなっています。
板塀で囲まれたそれぞれの邸宅、未舗装の砂利道、木製の電柱などが今なお残り、町並み全体が当時の姿を留めているのは全国的にも非常に珍しく、その歴史的価値から2010年には6棟の役宅と付属の変電施設、倉庫が栃木県の有形文化財に指定されています。
歴史を物語る資料館
役宅の一部は現在、鉱石資料館として活用されています。ここでは、足尾銅山で採掘された鉱石を中心に、国内外の貴重な鉱石約200点が展示されています。この建物は第二次世界大戦中に古河家の疎開先としても使われたため、庭には防空壕も残されています。
日本の近代化を支えた足尾銅山の歴史と、そこで暮らした人々の生活に思いを馳せることができる貴重な場所です。古河掛水倶楽部とあわせて、ぜひ訪れてみてください。
